※本記事は個人の体験談であり、医学的な効果効能を保証するものではありません。依存症の診断や具体的な治療については、必ず医師などの専門家にご相談ください。
朝、目が覚めた瞬間に思うことは「今日の天気」でも「朝ごはん」でもありません。
「タバコはどこだ?」 これだけです。
ベッドから這い出し、半分寝ている頭でライターを探す。 最初の一本を肺に入れ、ニコチンが全身に駆け巡って初めて、私の「1日」が起動する。 逆に言えば、それをしないと頭が働かないし、手が震えて何もできない。
いわゆる「チェーンスモーカー」。 1日3箱、4箱は当たり前。
もし、あなたも私と同じように「生活のすべてがタバコ中心」になっているなら、それは単なる習慣ではなく、「重度のニコチン依存症」という状態かもしれません。
「自分の意志が弱いからだ」と自分を責めないでください。 ここまで来ると、もはや意志の問題ではなく、脳の回路が完全に書き換えられてしまっている「生理的な現象」だからです。
この記事では、重度の依存症に陥っていた私が、なぜ根性論での脱出に失敗し続け、最終的にどうやって「治し方」を見つけたのか。その生々しい記録をお伝えします。
あなたは「重度」かも? 危険なサインと脳の状態
医学的な診断は医師にしかできませんが、一般的に「重度の依存」かどうかを測る指標として、「起床後、最初の一本までの時間」が重要視されています(FTNDテストなど)。
- 起きて5分以内に吸う
- 病気で寝込んでいても吸う
- 禁煙エリアにいるのが苦痛で仕方がない
もしこれらに当てはまるなら、あなたの脳はかなり深刻なダメージを受けている可能性があります。
脳内で起きている「受容体の異常増殖」
専門的な話になりますが、タバコを吸い続けると、脳内にはニコチンを受け取る「受容体(受け皿)」が増えていくと言われています。 重度の人の脳内は、この受容体が異常に増殖し、「もっとよこせ!全然足りないぞ!」と常に大合唱している状態だそうです。
軽い依存の人が「お腹すいたな」レベルの欲求だとしたら、重度の私たちは「呼吸ができない!」というレベルの飢餓感に襲われます。 この圧倒的な生理的欲求に対して、「我慢」だけで対抗しようとするのが、いかに無謀な戦いか想像できるでしょうか。
「重度」の人が自力でやめようとすると起きる悲劇
私はかつて、この「重度」の状態を自覚しないまま、市販のグッズや気合だけで禁煙に挑み、そして散り続けました。
離脱症状の激しさが違う
重度の依存者が急にニコチンを絶つと、離脱症状(禁断症状)も強烈に出る傾向があります。
- 思考が停止し、仕事にならない。
- 理由もなく涙が出る、あるいは激怒する。
- 猛烈な眠気、あるいは不眠。
- 手の震え、冷や汗。
「これは病気だ」と思わざるを得ないほどの身体反応が出ました。 そして、その苦しみに耐えきれず一本吸ってしまった時の、あの「脳がとろけるような感覚」と、その後に押し寄せる「死にたくなるほどの自己嫌悪」。
これを繰り返すうちに、私は「学習性無力感」に陥り、「どうせ自分は一生タバコの奴隷なんだ」と心を閉ざしてしまいました。 重度の人が丸腰で戦うことは、失敗体験を重ねて自信を失うリスクが高く、かえって依存を深めてしまうこともあるのです。
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「治し方」の視点を変える:脳の修理はプロに任せる
「骨折を気合で治す人」はいませんよね。整形外科に行き、ギプスをはめます。 それと同じで、「重度のニコチン依存症」は、脳の回路が複雑骨折している状態だと認識してください。
自力で治そうとするのは諦めましょう。それは逃げではなく、「適切な修理方法」を選ぶという賢い決断です。
1. 医療用医薬品(チャンピックスなど)の力
私が最終的に救われたのは、禁煙外来での治療でした。 重度の依存者にとって、飲み薬(バレニクリンなど)や医療用の高用量パッチは、まさに命綱です。
これらの薬は、脳のニコチン受容体に作用し、「ニコチンがなくてもドーパミンが出る状態」を作ったり、「タバコを吸っても美味しくない状態」にしたりします。 つまり、あの異常増殖した受容体の大合唱を、化学的に黙らせてくれるのです。
「あれ? 起きてすぐ吸わなくても平気だ……」
薬が効いてきた時の感動は忘れられません。 私の「強い意志」で我慢したわけではありません。薬が脳のバグを修正してくれたおかげで、欲求そのものが消えたのです。
2. 「重度」だからこそ、医師の管理が必要
重度の人は、離脱症状も強く出やすいため、独断での減煙や市販薬の使用は失敗しやすいです。 医師がいれば、「今は辛い時期だから薬をこう調整しましょう」「パッチのサイズを変えましょう」と、状況に合わせて細かくコントロールしてくれます。
この「医学的な伴走者」がいる安心感が、パニックになりがちな重度依存者の心を支えてくれます。
3. オンライン診療という選択肢
「重度だと知られるのが恥ずかしい」「通院が面倒で続かない」 そんな私にとって、オンライン診療は最適解でした。
自宅にいながら専門医の診察を受けられ、薬もポストに届く。 タバコが切れるとパニックになる私にとって、待合室での待ち時間がないことも大きなメリットでした。 「病院に行く」というハードルを極限まで下げることで、治療を完走することができたのです。
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鎖は必ず外れる。諦めないで。
重度のニコチン依存症であることは、決して恥ずべきことではありません。 ただ、あなたの脳が、ニコチンという強力な物質によって少し深く傷ついてしまっただけです。
そして、脳には「可塑性(かそせい)」という回復する力が備わっています。 適切な期間、適切な治療によってニコチンを遮断すれば、増えすぎた受容体は減り、脳は必ず元の正常な状態に戻ろうとします。
「タバコがないと生きていけない」 そう思っていた私が、今ではタバコのことを何日も思い出さずに笑って暮らせています。
もし、あなたが「自分は重症だから無理だ」と諦めかけているなら、どうかその手を離さないでください。 重症だからこそ、科学の力が劇的に効くのです。
私が頼った「医学的なアプローチ」と、重度の私でも挫折せずに続けられたクリニックの選び方をまとめました。 これが、あなたの長い戦いを終わらせるきっかけになれば嬉しいです。